<基本で重要> PERとEPSってなに?

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こちらの記事でも軽く触れましたが、今回はより詳しく・分かりやすく解説していきたいと思います。
・分かってたようで、実は分かってなかった。
・なぜ大事な指標なのか。
・決算書のどこを見れば良いのか。
・媒体によって数字が違うのはなぜなのか。

この記事を読めばしっかり理解でき、忘れても何度でも見にくればしっかり定着しますので、是非最後までお付き合いくださいませ。

EPSとは

PERの前にEPSを先に説明した方が、理解しやすいと思うので先にEPSの説明をさせてください。
EPSとはEarnings Per Shareの略で和訳は「1株当たり利益」です。
EPSの算出に使用されている純利益とは 営業利益から本業以外の損益を差し引きし、さらに税金なども引いた最終的な利益のことです。
純利益を発行済株式数で割ることで1株あたりの純利益(EPS)が算出されます。

EPSでわかること

EPSから分かるのは「収益力」と「成長性」です。 EPSの数字が高ければ、それだけ収益力が高いということになります。 過去のEPSと比較することでどれだけ「収益力」が成長したかが分かります。

EPSをもっと詳しく

実際に決算短信で見てみましょう。 参考までに「株式会社クボタ」の2023年度期末決算短信で説明させていただきます。

EPS
画像内①にある「基本的1株あたり当期利益」が「201.74円」と記載されています。
こちらがEPSに該当するものになります。

希薄化EPS
ただし画像内②に数字が入っている場合は「希薄化EPS」と言い
転換証券を全て含めて算出された当期利益」になりますので、こちらの方がより実際の利益を反映されていると言えるでしょう。
(転換証券とは優先株式、転換社債、ストックオプション、ワラントなど普通株式へ転換請求する権利や普通株式以外の株式のこと)

包括利益
また画像内③に「当期包括利益合計額」とありますが、包括利益とは「当期純利益 + その他の包括利益」のことです。
とてもややこしくなってきましたが、その他の包括利益とは株式の評価損益など確定していない含み損益が含まれています。
「当期純利益」が実現損益で「その他の包括利益」が未実現損益ということですね。
包括利益を知ることで、為替変動や株式変動による評価損益がどの程度影響しているのか分かりやすくなる反面、不確定要素が含まれることで不整合な利益とも読み取れます。

情報通記者ペン
情報通記者ペン

媒体によって違いますが、当期包括利益発行済株式数で割った数字をEPSと算出している場合もあるよ。

その他包括利益に含まれるもの
・株式の含み損益:株式の取得時と時価の差額
・土地の含み損益:保有している土地を時価換算したら利益が出る場合に計上
・繰延ヘッジ損益:デリバティブの期末時点の評価額を時期に繰り延べる場合に計上
・為替換算調整勘定:海外子会社の保有する資産を円換算した際に生まれる差損益
・退職給付に係わる調整額:将来退職金として給されるときに負債として生じるもの

EPSの注意点

EPSは1株あたりの純利益から算出されますので、発行済株式が増加したり、自社株買いなどにより発行済株式数が減少することによるEPSが増減することがあるので、単純に「収益力」が上がったのかと判断せず、なぜ上がったのかまで理解することが重要です。

PERとは

EPSはPERを算出するのに使用するので先に説明させていただきました。
PERとはPrice Earnings Ratioの略で和訳は「株価収益率」です。 株価に連動してPERが算出されることから、現在の株価が利益に対して何倍なのかが算出されます。

PERでわかること

PERで分かるのは
・株価に対して、企業がどのくらい利益を出す力があるのか。
・株価が割高か、割安か。

PERをもっと詳しく

実際に見ていきましょう。 参考までに「日産自動車株式会社」の株価と2024年度期末決算短信で説明させていただきます。

まず本記事公開時の株価は521.4円となっております。

そしてPERの算出に必要なEPSは先述の通り画像内④にある「1株当たり当期純利益 」になります。

これでPERに算出する素材は揃ったので
521.4円(株価) ÷ 110.47円(EPS)でPERが4.71倍ということになります。

PERの活用方法

EPSの算出には株価が使われないので、企業単体での業績として見ることができますが
PERの算出には株価が含まれていることで、株価に対して割高か割安か判断することができます。
PERが高いほど割高、PERが安いほど割安と一般的に判断されますが1企業だけのPERで判断することはありません。

一般的にPER15倍が目安基準と言われていますが、業種によっても平均PERが大きく変わってきますので
実際の利用方法としては大きく下記2点です。
・過去のPERとの比較
・同業他社・競合との比較

【過去のPERとの比較】
前期のPERが20倍だったのに対し、当期のPERが12倍になっていれば割安になったと判断できます。

【同業他社との比較】
業種によって妥当なPERが変わってきますので、競合他社のPERが10倍だったのに対し、投資候補先のPERが15倍だった場合割高だと判断できます。

PERの注意点

上記でも伝えているように、目安がとても難しいので、過去の推移や競合との比較など相対的に判断する必要があります。
特別損失や特別利益など一時的な要因で純利益が増える結果、PERの値が一時的に大きく変動することがあるので、増減した要因をしっかり把握する必要があります。

まとめ

EPSやPERは投資指標の一つなので、他の指標や企業が発表する計画などを複合的にみて判断する必要があります。
今回はEPSとPERについてまとめましたが、他の基本的な投資指標も順にまとめていきたいと思います!

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